圧力容器損傷、再確認
・31日午後の記者会見で原子力安全委員会は、「昨日、圧力容器が損傷していると会見したことについて事実か否か」との記者の質問に対し、「昨日、委員長からの発表があったように、我々の見解としてはその通りである」と述べ、「圧力容器が破損していなければ、データに齟齬が生じて事態の説明がつかない」との見解を明らかにしました
・31日午後の記者会見で原子力安全委員会は、「IAEAが飯舘村の土壌から避難基準の2倍の放射線量が測定されたとの会見を行ったが」との記者の質問に対し、「我々は空間の線量を測定しており、問題ない」「IAEAは葉の上の測定をしており、チェルノブイリ等のデータから、継続的に住めるかどうかの意味での避難という表現ではないか」との考えを示しました
・31日夜の記者会見で東電は、「プルトニウムの検査には、分析する企業で、機械の準備に1日、機械測定に1日(22時間)、分析に3日、測定に1日、分析に1日、と計1週間かかる」「22時間で結果が出るというのは、機械の稼働時間の意味である」と以前の記者会見の質問に答えました
・また、31日夜の記者会見で東電は、「プルトニウム分析中に、分析予定と返答したのは誤り」と以前の記者会見の質問に答えました
・31日夜の記者会見で東電は、「14日の3号機爆発直後にプルトニウムの検査をしなかった理由は」との記者の質問に対し、「セシウムやヨウ素を優先した」と回答しました
・31日夜の記者会見で東電は、「プルトニウムが検出された原子炉から500mの地点より近いところの方が、プルトニウムの量が多いのではないか」との記者の質問に対し、「一般的にそのような傾向にあるものと考えられる」と回答しました
「スリーマイルの14〜19万倍」米団体
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-03-30_16035/
東京電力福島第1原発の事故で放出された放射性物質の量は、1979年に発生した米国のスリーマイルアイランド(TMI)原発事故で放出された量の14万〜19万倍に上るとの試算を米国の市民団体、エネルギー環境調査研究所(IEER)のグループが29日までにまとめた。
IEERのアージャン・マキジャニ所長は「事故の深刻度の国際評価尺度で、TMI事故と同じレベル5だとする日本の公式見解は、幻想としか思えず、多くの誤解を招くものだ」と批判。評価尺度はより深刻なレベル6に当たると指摘した。IEERによると、事故でこれまでに環境中に放出されたヨウ素131の量は240万キュリー(1キュリーは370億ベクレル)と推定され、これだけでTMI事故の放出量の14万倍。これに加えて、放射性のセシウム134とセシウム137が計50万キュリー程度放出されたとみられ、合わせると放出量は19万倍に達する。
IEERによると、放射性のヨウ素もセシウムの量も旧ソ連のチェルノブイリ原発事故で放出された量の10%程度。だが、チェルノブイリ事故の放出源は原子炉1基だけだったのに対し、福島の事故は、三つの原子炉と四つの使用済み燃料プールが放出源になったとみられ、半減期が約30年と長く、体内に取り込まれやすいセシウム137の量も多いため、環境への影響が長く続くことが懸念される。
マキジャニ所長は「日本政府は、事故の実態を市民によりよく理解させるため評価をレベル6に引き上げ、これまで放出された放射性物質の量や、今後予想される放出量などを詳細に公表すべきだ」としている。
圧力容器損傷確定
・30日夜の記者会見で原子力安全委員会は、圧力容器が損傷していることを認め、1〜3号機それぞれの圧力容器についての損傷の度合いは不明と明らかにしました
・30日午後の記者会見で東電会長は、「津波による電源喪失は、既に想定して国会等で議論している」との記者の指摘に対し、「過去の例から想定し得る最大限の津波を想定した」と述べ、過去の事例の調査を元にした過去の事例への想定であり地震国としての将来の予測ではなく、またスマトラ地震や貞観地震も参考にしていないことを明らかにしました
・30日午後の記者会見で東電会長は、「東電がプルトニウム検査をしていないと答弁していた時期に、実は測定中であったのはおかしい」との記者の質問に対し、「4日後ぐらいに結果が出ると言ったはずだ」「プルトニウムが出すアルファ線の測定には時間がかかる」などと回答しました
・30日午後の記者会見で東電会長は、「東電がプルトニウム測定を依頼した2社に照会したところ、22時間程度で結果が出るそうだが」との記者の指摘に対し、同じく「プルトニウムが出すアルファ線の測定には時間がかかる」と回答しました
・30日午後の記者会見で東電会長は、「放射性物質漏れがなくならないと抜本的解決にはならない」との記者の指摘に対し、「注水が重要」との考えを示しました
プルトニウム続報
・29日明けの記者会見で、保安院はプルトニウム漏れの事態の深刻度について問われ、「5重の壁を破ったということですから」と回答しました(註:ペレット、保護膜、圧力容器、格納容器、建屋のことと思われます)
・29日明けの記者会見で、東電は「保護膜が損傷しただけではプルトニウムは漏れない」として、テクネチウムのように燃料棒のペレット由来であると表明しました
・この他、東電が「重いから簡単には外に出ない」としていたプルトニウムが、500m離れた位置から見つかったことに対しての指摘も記者から出されました
・29日午後の記者会見で東電は、「既に燃料が溶けていて手遅れなのでは?」との記者の質問に対し、「注水が大事」と述べました
・29日午後の記者会見で東電は、「先日までプルトニウムの検査をしていないと言っていたのに、昨晩プルトニウムが検出されたというのはおかしくないか」との記者の質問に対し、「21日に試料を収集して検査結果が出るまで時間がかかった」と回答しました
・29日午後の記者会見で東電は、「2号機、3号機の圧力が大気圧に対してマイナスになっているデータがあるのは、明らかに圧力容器が破損していることを示しているのではないか」との記者の質問に対し、「我々はパラメータを見ているだけで推測はしない」との見解を明らかにしました
・29日午後の記者会見で東電は、「建屋内のプルトニウム検査はしないのか」との記者の質問に対し、「検査する必要がない」として、「アルファ線は計測が難しく、現在計測しているガンマ線と相関性があるアルファ線を出しているプルトニウムについてはガンマ線の計測だけで充分」との考えを示しました